2018年6月に公開された『50回目のファーストキス』や、『掟上今日子の備忘録(2014年10月放送ドラマ)』など、映画やドラマでは、ヒロインがその日起きたことを翌日まで記憶できないというストーリーがありますよね。

眠るとその日1日の記憶が全てなくなり、そこで築いた人間関係はまるでリセットされたかのようになっています。

1日ではなく、1週間で記憶をなくすという『一週間フレンズ』という映画もありました。

このように、1日や1週間などの短期間で記憶がなくなってしまう病気は実際に存在するのか?

気になったので調べてみました!

Suponsored Links

エピソード記憶だけが抜け落ちる健忘症

健忘

健忘症(けんぼうしょう)とは、エピソード記憶の障害を指します。

エピソード記憶とは、普段の生活のなかで体験した出来事についての記憶であり、「いつ、どこで、何をし、何があったか」などという個人的・社会的な記憶です。

健忘症では、知的機能にはほとんど障害が見られませんが、言葉で説明できる物事などのエピソード記憶だけが抜けてしまうという特徴を持っています。

「前向性健忘」と「逆行性健忘」

健忘症には、『前向性健忘(ぜんこうせいけんぼう)』と『逆行性健忘(ぎゃっこうせいけんぼう)』の二つがあります。

  • 前向性健忘:発症時点の後に経験した新しい出来事が覚えられなくなる
  • 逆向性健忘:発症以前に体験したことを思い出せなくなる

今回紹介した物語のヒロインに見られる「新しい出来事を記憶できない」という症状は、この『前向性健忘』が参考にされているのではないかと考えられます。

【前向性健忘】主な症状

前向性健忘では、原因となった外傷や薬の副作用などから、それ以降の新しい物事を記憶できなくなります。

ケガが発生した時点より前の記憶が無くなる逆向性健忘の状態とは反対です。

 

日付がわからない、物を置いた場所を忘れてしまう、新しい人や場所を記憶できないなど、新しく入ってきた情報を覚えることができなくなります。

記憶が保たれる時間はさまざまであり、数分で忘れてしまう場合や、数日間の記憶が保持され、その後数日分の記憶を一気に忘れてしまう場合もあります。

 

また、原因が睡眠薬の使用によるもので一時的に発生する健忘症状は『一過性前向性健忘』と言います。

この場合、睡眠薬の効果が効いている間の出来事については思い出せないという前向性健忘の症状が現れますが、薬の効果が切れるとそれ以降の健忘症状はなくなります。

【前向性健忘】主な原因

健忘

前向性健忘を発症には

  • 何らかの外傷を受けて発生する外傷性
  • ストレス等が原因として起こる心因性
  • また薬剤の使用による薬剤性

などの原因が挙げられます。

外傷性

事故で頭部に衝撃を受けたり、手術などで脳が損傷を受けることで健忘症状を発症します。

軽度な場合は一過性の健忘症状ですぐに治る場合があります。

心因性

心因性の原因としては、大きなストレスなど精神的な負担がある場合に発症するようですが、詳しい原因やメカニズムについては解明されていません。

薬剤性

薬剤性の原因では睡眠薬の使用により発生することがあるため、睡眠薬を服用している人は注意が必要です。

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬では、一過性の前向性健忘症状を発症させる場合があります。

睡眠薬の使用量を増加させた場合や、睡眠薬とアルコールを同時に摂取した場合などに症状が発症することが多いそうです。

【前向性健忘症】治療について

薬剤による一過性前向性健忘である場合は、薬が抜けたら自然と症状はなくなるため、とくに治療は必要ありません。

ただし、症状が継続して発生する場合は、服用している薬剤を変更した方がよいでしょう。

 

一過性でない前向性健忘では、治療方法が確立されていないため、発症すると生活に大きな支障となってしまいます。

自然回復するまで、なるべく生活に支障が出ないよう工夫して日常を過ごすことが必要となります。

例えば、新しい出来事はメモなどで記録を取り、後で見返すなどです。

 

新しく覚えたことを忘れてしまうので、毎回初めて行うこととなってしまう仕事を行うのは難しい状態となってしまいます。

しかし、習慣化されたことは比較的記憶に残りやすいとされています。そのため、繰り返し行うことで、何度も起きた同じ事は記憶にとどめておくことが出来るようになる場合もあります。

まとめ

健忘とは、生まれ持った病気ではなく、外傷や心的原因など、至って特殊な病気ではなく、誰にでも起こりうる症状だということが分かりました。

ドラマや映画などでは、きれいな感動ストーリーとして綴られていますが、実際に自分が記憶を保ち続けられなくなってしまったらと思うと、考えただけで悲しくなります。

これまでのたくさんの思い出や、これから過ごしていく時間をもっと大切にして生きていきたいですね。

Suponsored Links

おすすめ記事